大阪地方裁判所 昭和62年(わ)4071号 判決 1988年8月01日
本店所在地
大阪市旭区今市一丁目一五番一五号
竹村電機株式会社
(右代表者代表取締役 竹村義正)
本籍
同市旭区今市一丁目二三八番地
住居
同市旭区太子橋一丁目一三番七号
会社役員
竹村義正
大正一四年二月九日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官藤村輝子出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人竹村電機株式会社を罰金三〇〇〇万円に、被告人竹村義正を懲役一年四月に処する。
被告人竹村義正に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人竹村電機株式会社(以下、被告会社という。)は、大阪市旭区今市一丁目一五番一五号に本店を置き、電気工事材料卸販売等を目的とする資本金九六〇〇万円(昭和五七年九月一七日以前は四八〇〇万円)の株式会社であり、被告人竹村義正(以下、被告人という。)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て
第一 被告会社の昭和五七年一月二一日から同五八年一月二〇日までの事業年度における所得金額が二億〇一二八万〇〇六九円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、期末棚卸商品の一部を除外するなどの行為によりその所得の一部を秘匿した上、同五八年三月二二日大阪市旭区大宮一丁目一番二五号所在の所轄旭税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億二三六六万一八二六円でこれに対する法人税額が四六九〇万二一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額七九四九万二五〇〇円と右申告税額との差額三二五九万〇四〇〇円(別紙(五)税額計算書参照)を免れ
第二 被告会社の昭和五八年一月二一日から同五九年一月二〇日までの事業年度における所得金額が二億一〇八七万一九九二円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、前同様の行為によりその所得の一部を秘匿した上、同五九年三月二一日前記旭税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億六三三〇万〇三九八円でこれに対する法人税額が六二九六万六二〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額八二九三万九七〇〇円と右申告税額との差額一九九七万三五〇〇円(別紙(五)税額計算書参照)を免れ
第三 被告会社の同五九年一月二一日から同六〇年一月二〇日までの事業年度において、その所得金額が三億五五八九万〇九二六円(別紙(三)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、前同様の行為によりその所得の一部を秘匿した上、同六〇年三月二〇日前記旭税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二億三六一七万一六一三円でこれに対する法人税額が九七七七万四一〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額一億四九六一万二四〇〇円と右申告税額との差額五一八三万八三〇〇円(別紙(六)税額計算書参照)を免れ
第四 被告会社の同六〇年一月二一日から同六一年一月二〇日までの事業年度における所得金額が四億四四二四万二八八五円(別紙(四)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、前同様の行為によりその所得の一部を秘匿した上、同六一年三月二〇日前記旭税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三億五九三八万一九五二円でこれに対する法人税額が一億五一一五万九九〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額一億八七九〇万四八〇〇円と右申告税額との差額三六七四万四九〇〇円(別紙(六)税額計算書参照)を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一 被告会社代表者兼被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書(証拠等関係カード検察官請求分番号94)
一 被告人に対する収税官吏の質問てん末書一四通(前記番号79ないし85、87ないし93)
一 勝山一成(前記番号43)及び田中淳一朗(前記番号53)の検察官に対する各供述調書
一 勝山一成(七通。前記番号36ないし42)、田中淳一朗(九通。前記番号44ないし52)、田吹利男(一一通。前記番号54ないし64)、松本正男(三通。前記番号65ないし67)、高見学(二通。前記番号68、69)、井口三祥子(前記番号70)、山本勇進(三通。前記番号71ないし73)、森貢(前記番号74)及び竹村諒子(二通。前記番号75、76)に対する収税官吏の各質問てん末書
一 収税官吏作成の査察官調査書一九通(前記番号6、7、9ないし16、18、20、21、23、24、28、29、32、34)
一 法人登記簿謄本(前記番号77)
判示第一及び第二の各事実につき
一 旭税務署長作成の青色申告承認の取消に関する証明書(前記番号5)
判示第一、第三及び第四の各事実につき
一 収税官吏作成の査察官調査書(前記番号33)
判示第一及び第三の各事実につき
一 収税官吏作成の査察官調査書(前記番号31)
判示第二ないし第四の各事実につき
一 収税官吏作成の査察官調査書二通(前記番号30、35)
判示第三及び第四の各事実につき
一 収税官吏作成の査察官調査書三通(前記番号25ないし27)
判示第一の事実につき
一 旭税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの)(前記番号1)
一 収税官吏作成の査察官調査書(前記番号22)
判示第二の事実につき
一 被告人に対する収税官吏の質問てん末書(前記番号86)
一 旭税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの(前記番号2)
一 収税官吏作成の査察官調査書三通(前記番号8、17、19)
判示第三の事実につき
一 旭税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの(前記番号3)
判示第四の事実につき
一 旭税務署長作成の証明書(法人税確定申告書写添付のもの)(前記番号4)
(法令の適用)
一 罰条
1 被告会社
判示各所為につき法人税法一五九条一、二項、一六四条一項
2 被告人
判示各所為につき法人税法一五九条一項
一 刑種の選択
被告人につきいずれも懲役刑選択
一 併合罪の処理
1 被告会社
刑法四五条前段、四八条二項
2 被告人
刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第三の罪の刑に加重)
一 刑の執行猶予
被告人につき刑法二五条一項
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 松本信弘)
別紙(一) 修正損益計算書
(竹村電機(株))
自 昭和57年1月21日
至 昭和58年1月20日
<省略>
別紙(二) 修正損益計算書
(竹村電機(株))
自 昭和58年1月21日
至 昭和59年1月20日
<省略>
別紙(三) 修正損益計算書
(竹村電機(株))
自 昭和59年1月21日
至 昭和60年1月20日
<省略>
別紙(四) 修正損益計算書
(竹村電機(株))
自 昭和60年1月21日
至 昭和61年1月20日
<省略>
別紙(五) 脱税額計算書
(法人税法 竹村電機(株))
<省略>
別紙(六) 脱税額計算書
(法人税法 竹村電機(株))
<省略>